道路陥没の原因は?調布・横浜・博多の陥没事故はなぜ起きたか解説

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2020年10月18日、東京都調布市にある住宅街で市道に5m以上の大きな穴が空くという事故が起きました。

道路の陥没事故は過去に博多や横浜などでも起きており、記憶に新しい人もいるかと思います。

今回の事故では幸いけが人はいなかったそうですが、

もしも自分が車の運転中や歩行中に急に道路に大きな穴が開いて、落ちてしまったらと思うととても怖いですよね。

こうした道路の陥没事故はなぜ起きてしまうのでしょうか?

今回は、

道路の陥没事故はなぜ起こる?原因は?
過去の道路陥没事故の事例:①東京都調布市つつじケ丘(2020/10/18)
過去の道路陥没事故の事例:②横浜市港北区の環状2号(2020/6/12・30)
過去の道路陥没事故の事例:③福岡県JR博多駅前通り(2016/11/8)

についてまとめました!

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道路の陥没事故はなぜ起こる?原因は?

道路が陥没してしまうのは、水道管の劣化やトンネル工事による『地下の空洞』が原因とわかっています。

本来安全のはずの地下で空洞ができてしまうメカニズムは、下のようになっています。

  1. 老朽化した水道管などに亀裂が生じる
  2. 亀裂から地中の水が流れ込む
  3. 周囲の土砂も水に交じって水道管の中に侵入
  4. 土砂がなくなり水道管の周りに空洞ができる
  5. 空洞上部の土が落下する
  6. 再び亀裂の中に土砂水が流れ、空洞の規模が地表に向かって拡大する

このように、道路下の埋没物に土砂や水が流されたり、トンネル工事で空洞ができると地盤が緩んでしまうのです。

過去に起きた道路陥没の事故でも、すべて道路下の埋没物の劣化やトンネル工事が原因とされています。

道路陥没事故は今後も増加する可能性がある、対策は?

ちなみに、水道管の老朽化による道路陥没事故は、毎年3000件以上に達するそうです。

というのも、日本国内では1960年代以降、下水道の整備が急速に進みました。

当時設置された水道管は50年を迎えるものが今後増えていくので、いつ破損してもおかしくない状況にいます。

出典:国土交通省

未然に大きな事故を防ぐ対策としては、

地中に向けて電磁波やレーダーを発射して空洞を事前に見つける(潜水艦ソナーと同じ役割)という取り組みがされています。

大きな事故につながりそうな空洞や陥没を早期に発見し、新しい水道管に取り換えるという地道な作業がされていくようです。

とはいっても、これはあくまで水道管が劣化している場合です。

過去に起きた道路陥没事故では、どれも地下でのトンネル掘削工事が主な原因とされています。

その事例をご紹介します。

過去の道路陥没事故の事例:①東京都調布市つつじケ丘(2020/10/18)


出典:Yahoo!ニュース

  • 日付:2020年10月18日午前8時頃
  • 事故の場所:東京都調布市東つつじケ丘2丁目
  • 穴の大きさ:幅5m×長さ3m×深さ5m
  • 原因:東京外環道【練馬―世田谷間】の地下トンネルでの建設工事?
  • 現在の状況:19日朝までに穴を埋める仮の復旧作業が済んでいる

東京都調布市にある京王線つつじが丘駅から直線距離400mの住宅街で、道路の陥没事故が起きました。

10月18日の正午に、通りかかった通行人が110番通報したことにより発覚しました。

周囲の住民の証言によると、18日の朝8時ころから陥没が始まって、13時には大きな穴になっていたそうです。

幸いけが人はいなかったそうですが、水がたまった深さ5mの穴に落ちたら…と考えると恐ろしいですよね。

昼間のうちに発見できてよかったですが、夜だったら気付かずに落下してしまう危険性もあります。

道路が陥没した現場=18日、東京都調布市で(市民提供)
出典:東京新聞

この現場は関越自動車道と東名高速道を結ぶ東京外環道の【練馬―世田谷間】の建設工事のルート上にあったそうです。

事故現場の約40m地下ではトンネル工事が進められており、9月中旬には直径16mの掘削機(シールドマシン)が通過したばかりでした。

ちなみにシールドマシンとは、こういう機械です↓


出典:Kawasaki

地下のトンネル工事の振動と音がうるさかった
シールドマシンが通過したあと、振動で家のブロック塀に亀裂やひびが入った

などと住民たちは地下工事について以前から迷惑に思っていたようです。

原因は究明中ですが、掘削機が通った後の空洞に土砂が流れ込み、陥没してしまった可能性が高いですよね。

道路を管理する調布市によると、トンネル工事に伴う振動などで「住宅の外壁の一部がはがれた」などの苦情が、市や工事事業者に対し多く寄せられていたという。出典:東京新聞

調布市東つつじが丘だけではなく、他のルート上にある場所が陥没してしまう危険性が十分あります

建設ルート上の住民へ注意を促し、早期に調査してほしいところです。

過去の道路陥没事故の事例:②横浜市港北区の環状2号(2020/6月12日・30日)


出典:Yahoo!ニュース

  • 日付:2020年6月12日、6月30日
  • 事故の場所:横浜市港北区大豆戸町の環状2号
  • 穴の大きさ:約縦・横6m×深さ4m(1回目)、約縦8m×横6m×深さ2m(2回目)
  • 原因:地下で行われている相鉄東急直通線のトンネル掘削工事
  • 現在の状況:「地盤変状検討委員会」を設置、地盤補強など対策を進め中

2020年6月に、横浜で立て続けに2回起きた陥没事故です。

1回目の陥没事故は、環状2号上にある新横浜駅から北東に約800mほど離れた横浜市営バスの港北営業所付近で起きました。

その後、1回目の現場から300m離れた環状2号上にある場所で、再び陥没が起きました。

現場はどちらも駅前付近で交通量もかなり多い場所。

当時は車線規制などが起こり、大規模な渋滞も発生していました。

横浜の陥没事故は、建設中の相鉄・東急直通線「新横浜トンネル」のほぼ真上で起きました。

地表18~19mの深さでトンネル掘削が行われた場所で、1回目は6日前、2回目は2カ月前にトンネルの掘削工事が完了していたそうです。

この辺りの地盤は『泥岩層が薄く砂層が主体』で、頑丈なところが少なく流動化しやすい砂を多く含む地盤だったそうです。

土砂に含まれる土の密度を検査しながら掘り進めるのですが、砂が多いので規定より土の密度が少なく結果に出てしまいます。

その結果、掘削工事の際にいつもより土砂を多く取り込みすぎてしまい、

突然大崩壊が起きたわけでもなかったので続行してしまった、ということが原因だと明かしました。

怖っ
その日にその場所を車で通ったんだけど;
走ってる時に陥没したらとか思ったら 恐ろしすぎる
など、ネットでも話題になりました。

過去の道路陥没事故の事例:③福岡県JR博多駅前通り(2016/11/8)


出典:日テレNEWS24

  • 日付:2016年11月8日早朝
  • 事故の場所:福岡県福岡市博多区はかた駅前通り
  • 穴の大きさ:縦・横約30m×深さ約15m
  • 原因:地下鉄の延伸工事
  • 現在の状況:事故後、1週間で全復旧

2016年にJR博多駅前通りで起きた、大規模な陥没事故です。

縦・横30m、深さ15mとかなり大きな陥没穴だったので、記憶に残っている人もいるのではないでしょうか。

この陥没は、地表から地下30mで行われていた地下鉄七隈線の延伸工事中に起きました。

横穴を採掘中に岩盤が落ち、壁面から水が流れてきたのを作業員が発見したことにより発覚

陥没に伴い爆発音が起きたり、焦げた異臭がしたため、住民や付近の建物に避難要請が出されます。

音と水しぶきがすごかった
警察が「今すぐ避難してくれ」と来てびっくりした
ガス漏れや停電なども起こり、東西150メートル、南北350メートルにわたり通行規制がされました。
陥没が発覚した際、安全確保のため工事関係者による自主的な交通規制が行われ、幸い犠牲者はいなかったそうです。

復旧にかかったのはわずか1週間で、2016年11月15日には交通が再開されます。

素早い作業に感心を抱く人も当時は多く、特に海外からの評判も高かったです。

これは称賛を贈らないと。
とてつもない成果だわ。
イギリスだったら完成までに半年はかかるよ
復旧後の写真を見たら「陥没したのは本当なの?」って疑いたくなる
信じられない!

しかし、福岡市の地下鉄沿線に伴う陥没事故は2000年、2014年に続き3度目となります。

再発防止に向けて、地盤や土の性質をしっかりと調査しておく必要があります。

まとめ

今回は道路陥没事故がなぜ起きるのかということと、過去に起きた大きな陥没事故の事例をまとめました。

いずれも地下トンネルでの掘削が原因のようです。

しかし水道管の劣化も早期に対処しなければ、陥没事故が誘発されていくことは間違いないでしょう。

けが人がいなかったことが幸いですが、しっかりした地盤調査をしたうえでトンネル工事を行っていってほしいですね。

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